ボクシングで使われる有名なモハメド・アリ選手が残した言葉に「左を制するものは世界を制す」・・・というのがあります。
基本的な技の左ジャブや左ジャブに象徴される基礎的な技術の重要性を説いている言葉です。
この言葉をもじって、大学・高校など受験生に対して「夏を制する者は受験を制する」・・・なんて言われたりもします。
また、会社では「数字を制するものはビジネスを制す」・・・と言われたりもします。
このように「何か」を制し克服していくと、その結果、その先にある「本来の目的」を易々と克服できる/達成することにつながる・・・という言い回しはいくつもあると思います。
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「制海権」とは、その海路を安定的に利用し、敵意ある国や競争相手国の利用を拒否する管制権力のことを言います。
同じように「制空権」とは、それが「空」に該当し、「制陸圏」とはそれが「陸」に該当します。
これらは、別な言い方をすれば「国益や商圏を守る権力」と言え、「制空権/制陸圏/制海権を制する者は国益を制す」とも言われます。
ヨーロッパで起きたローマとカルタゴの戦争で言えば、もともと大陸国家のローマ共和国の戦争目的は「シチリア島の占領」ですが、カルタゴの戦争目的はただの「制海権の維持」だった・・・と言われています。
つまり、仕掛けたのはローマであり、それを渋々受けたのがカルタゴだったわけです。
カルタゴは、従来の商圏を維持することしか欲はなく、決してローマ共和国のように他国を滅ぼし自国とする、なんてことは考えていなかったわけです。
現代社会の経済摩擦/貿易摩擦というのも、A国とB国とのどちらかの国が他国への進出野望をむき出しにして、それを相手国が渋々受け入れざるを得ない状況になって対処しているだけのことかもしれません。
〇〇を制して△△を制する・・・という流れでは、もともとの目的を明確にして、それ以外のことにしわ寄せがいかないように深謀遠慮する心が大事だと思います。
余計な争いごとは避けたいものですね。