鬼が来る・・・鬼がやって来る!・・・と言っていると、案外鬼はやって来ないものであり、同じように株価暴落が来る!・・・と言っているうちは株価暴落は訪れないものです。
キケンなのは、みんなが災難を忘れて「今」が永遠に続くような錯覚をもって狂喜しているときですね。
天変地異がやって来る・・・と言っていてもそうしたことは案外と起きないものです。
世の中には、まことしやかに○○が近々やってくるから気をつけたほうがいいぞ!・・・と親切な顔をした忠告が発せられることがありますが、一見論理的に正しいように思える話であっても不思議とそうした事態にはならないものです。
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イギリスの経済学者マルサスは『人口論』という著書で
「人口は25年で2倍になるが、食糧の伸びはずっと少ない(人口は幾何級数的に伸びるが、食糧は算術級数的にしか伸びない)」
として、人口と食糧のギャップが絶望的になると分析したことから、悲観的な世界がやって来ることを指摘しました。
豊かになればなるほど、人は子どもを増やす(=人口が増える)と考えてマルサスは訴えかけたわけです。
しかし実際には、豊かになればなるほど、食糧を開発する技術も進化を遂げ、また想定したほどには子どもの数が増えず逆に減っていった・・・という皮肉な結果になりました。
理論的には正しいことを言っているように見えたマルサスでしたが、単純なロジック通りには世界が動かなかったわけです。
面白いですね。
事実は小説よりも奇なり・・・です。
豊かな国々では人口の減少が起きて、人口と食糧のギャップが絶望的になるというマルサスの『人口論』は杞憂だったわけです。
人間には不思議な問題回避能力が本能として備わっているのかもしれませんし、未来を予想し100%的中させるほど人間は何でも知っているわけではないですね。