昔、テレビCMで「トイレの臭いは元から経たなきゃダメ!」・・・というのがありました。
たとえ一時的に臭いを消し去っても、臭いの大元にある原因を除去しなければ、すぐにまた臭うようになる・・・というわけです。
「元を絶たないと元の木阿弥」・・・というこの発想は多くのことに共用できると思います。
たとえば、庭の雑草も土の上に出ている草の部分だけをむしり取っても、数日経つとまた雑草が生え茂ってきます。
それは、原因である根っこから引き抜いていないからです。
パソコンで、文書などの中身をどんなに書き換えても、それを「保存」して大元を変更しておかなければ、次に開いたときには最初からやり直しになります。
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仏教では、ほとんどの苦しみや悩みは「苦しみ・悩みの枝葉であって、苦しみ・悩みの根元ではない」と言われます。
なぜ「枝葉」だと言われるのか?
それは枝葉が切っても切ってもあちこちから生えてくるように、人の苦しみ・悩みも一つ乗り越えてヤレヤレと思っているとまた次の苦しみ・悩みがやってくるから・・・です。
「一難去ってまた一難」で、人生では次から次へと思わぬ苦しみ・悩みが現れてくるものです。
なぜそうなってしまうのか?・・・というと、結局は「苦しみ・悩みの根元を知らない」からであり、大元の原因を取り除けていないから・・・です。
枝葉幹を一本切ったところで、根元から新たな養分を吸い取って別の枝葉幹が芽生えてきます。
人が(特に若い世代の人が)次から次へと苦しみや悩みを抱えてしまうのは、悟りや経験値が浅いために「苦悩の根源」を絶やしきれていないため・・・です。
歳を重ねて人生経験が豊富になってくると、そうしたことにどこかで気づき、悟り、苦悩の根源を取り去ることにほぼほぼ成功して苦しみや悩みから解放されますが、その域に達するまでにはやはり時間が必要です。
日頃から(枝・葉・幹ではなく)「根」を絶やせるか?と意識を向けていれば、そうした時間を短縮し、早く悟りの境地に達することができるかもしれないですね。