人類の生活は昔、飢えとの戦い・・・でした。
今の日本ではもう「飢え」なんて誰も考えませんが、ほんの数十年前は「飢えとの戦い」の日々があったわけです。
かつて、プラトンは「賢者とライオンと百の頭を持ったヒドラ、これが人間だ」と言いました。
賢者とは頭脳のことで、判断力や知性の比喩で、人間の身体の上部構造です。
ライオンとは人間の胸部、すなわち人の感情的な側面や勇気や愛を象徴しています。
ヒドラとは、ガツガツ飲み食いする動物的本能を指していて、食欲・性欲など身体の下部構造の象徴です。
確かに、そんなところが人間にはあると言えそうですね。
また、フランスの哲学者アランはさらに「下位のものが上位のものを規定して、上位のものが下位のものを照らす」と言っています(ちょっと難しいですが、相関関係があるということです)。
つまり、頭脳といった理性よりも感情・本能・欲といったものが勝るということです。
どんない優れた知性の持ち主でも、身体の下位の欲望から逃れることは難しい・・・というわけです。
飢えとの戦いで、飢えることの恐怖・不安を克服した現代人だからこそ、下位の欲望に惑わされることなく理性的な行動ができるのかもしれません。
飢えとは無縁で生きられる今の日本国に感謝ですし、そうした生活環境で暮らせることにも感謝ですね。