台湾総督府民政長官、満鉄初代総裁、内務大臣、外務大臣、東京市長などを歴任した後藤新平氏の言葉にこんなのがあります。
「人のお世話にならぬよう
人のお世話をするよう
そして報いを求めぬよう」
明治から大正の近代日本の基盤を築き上げてきた不世出の政治家の言葉だけに重みと深みがあると思います。
彼はこの言葉を自身の「自治三訣」としていたそうです。
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サラリーマンが会社を定年退職し、あとは自分の老後を悠々自適に暮らすだけ・・・となったら、上記の後藤新平氏の自治三訣の精神を持つと良いと思います。
そもそも「定年」というのは何も「会社勤務を停年」するという意味だけにとらえる必要はなく、ましてや「人生を諦念(あきらめの気持ち)」する意味でもありません。
たまたま法令上(就業規則など)に記載されている一定の年齢に達しただけ・・・で、日々の過ごし方を変える一つのきっかけの時期です。
人生100年時代における65歳という年齢はその道の約3分の2を生きた証の年齢です。
あえて言うなら、これからの令和時代の「定年」は「丁年」と考えたほうがベターかもしれません。
「丁年」というのは「一人前に成長した人」という意味です。
一人前になっていない人のことを「丁稚(でっち)」と昔は言ったものですが、この「稚」が取れた年齢こそが「丁年」で、すなわち一人前の人間の域に到達したことを意味するのだと思います。
丁年になったことを喜び、丁年になった後はそれまでの人生以上に「人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そして報いを求めぬよう」に生きると良いと思います。
これまでの経験と知識を元に、自分のためと誰かのために自分の好きなペースで自由に生きることが可能な年齢です。
まだまだこの先35年の人生が待っていると思えば、本当に人生まだまだこれから・・・です。
ある意味、人生の本番は「丁年」以降かもしれません。
そうした人生を歩むとき、他者に迷惑をかけることがないよう、後藤新平氏の自治三訣の精神を見習って生きていきたいものですね。