私が高校を卒業して一人暮らしを始めた頃・・・昭和57年頃の日本は今と比べればまだまだ発展途上にあるような状態で、良い意味で古き良き時代感が残っていたように思えます。
当時はお金の運用先と言っても庶民にほぼ選択肢は無く、銀行預金・郵便貯金くらいでした。
その代わり利率がすごく高い時代だったので人々はあまり頭を悩ませることなく預金・貯金にお金を預けていたと思われます。
当時の昭和のサラリーマンたちが大きな資産を手元に残すことができたのもこの高い利率によるところが大きく、たとえば昭和55年の郵便局の定期預金金利表を見てみると、複利効果も相まって・・・6ヶ月で6.5%・・・1年で7.12%・・・5年で9.6%・・・10年で11.91%という今では信じられないような数字が並んでいました。
10年で11.9%ということは、10年間預ければ元金は2倍強になって返ってくる、ということです。
実際、私もその恩恵を受けました。
利子にもまた利子がつくのが複利のスゴイところですが、そうやって運用で得た収益を当初の元本にプラスして再び投資することで利益が利益を生んで膨らんでいく・・・ということが当たり前になっていた時代です。
だから、下手に株式投資に手を出す考えを持つ必要もなく(そもそも株式は購入単位がメチャクチャ高額だったし)、給料の一部は銀行か郵便局に預けておけばいい・・・というわけでした。
そうすれば元本が減ることなくじっと10年経てば2倍超になり、まとまった余裕資金で株や不動産を買っておけば右肩上がりの経済が後押ししてくれてあれよあれよと価値高騰の恩恵を授かれたわけです。
サラリーマンは「定期預金+自社株+退職金で人生一丁上がり」という構図になっていたと思います。
当時はこれによって定年後は悠々自適な老後生活に入っていった人が多かったと思われます。
ところが、今は違います。
日本の定期預金利率は0.1%以下です。
給料がさほど上がらない中で徐々に物価や社会保険料は上昇しているため、サラリーマンの可処分所得は年々減ってきています。
インフレが加速する中ではお金の価値が目減りするスピード・規模以上に高い利回りで資産を運用しなければならないわけですが、それもままならないまま昭和後期から平成・・・令和を迎え、今日があります。
新型NISAなど朗報もちらほら出てきましたが、いずれにしても大切なのは「自己責任の原則の元、自分自身で決定して運用する」ということです。
何も考えないで銀行・郵便局に預けておけばよい・・・という守られた時代は終わりました。
そんな時代を明るく、前向きな気持ちで、自分の力を試せることにむしろ喜びを感じて進む意欲を持てる人になれば、人生は好転していくと思います。