荘子に「朝三暮四」という有名な故事成語があります。
飼っているサルにエサのドングリを朝に3つ夕方に4つやると言ったらサルが怒り出したので、「わかった・・・じゃあ朝に4つ夕方に3つやろう」と言ったらサルは喜んで納得した・・・という話です。
目先の利益に目がいってしまい、結果的には利益が同じで あることに気づかないという意味で、どちらかというとあまり良い使い方はされず、相手の愚かさを例えて言うときに使われます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
仮に世の中のインフレ率が0%で、年利5%の定期預金があって、利息には100%の利子税がかかるとします。
すると、100%の利子税は高すぎる!とみんな非難するはずです。
そこで政府はこう言います。
「わかった、じゃあ利子税は0%にして、インフレ率は5%にしよう」・・・と。
それだったら・・・とみんな納得します。
・・・ところがよくよく考えてみると定期預金で5%の利息がついて取られる税金は0円だとしても、インフレで世の中の物価が5%上がっているのなら、預金の実質的な価値は変動していません。
そういう意味では、インフレ率0%で利子税100%のときと実質同じです。
つまり、プロセスはどうあれ結果は同じ、朝三暮四と同じ・・・ということです。
何事も部分を見るのではなく、全体を見ることが大切です。
・・・・・・・・・・・・・・
インフレは貯金を無意味にさせます。
インフレによって銀行預金の利率以上の物価高になっているなら、結局持っているお金は実質的には目減りしていることになります。
利子税が100%だったら怒る人も、インフレ率が数%程度だとその重要性に気づかずに見逃してしまうかも・・・?
でも、本当に大事なのはむしろそのインフレ率のほうにあります。
インフレ率以上に貯金を有効に運用できなければ貯金を持つ意味がなくなってしまいます。
「貯めたお金」は、どこかで運用して「増やす」にまわすことが大事ですね。