サラリーマンが無事定年まで会社で勤めあげると、そのときはたいてい65歳です。
定年退職だと、一般的な退職のときより割増して「退職金」をもらえる会社が多いです。
会社によってもちろんルールが異なりますが、通常の2倍の退職金をもらえるような就業規則や退職金規定で定めている会社は多いと思います。
いきなり、それまで持ったことのないような金額のお金を手にすることができます。
しかも、自由に使えるお金です。
→ここで、それまでずっとガマンにガマンを重ねてきた奥さんが熟年離婚を切り出す・・・といった流れも世の中にはあるようです。
大金を手にして、ちょっとした欲が出て、それを元手に「株を始める」「投資信託に預ける」「事業を始める」・・・などといったいわゆる「お金の運用」をスタートする人もいると思います。
そのときの「老後事業スタート」で気をつけるべき重要なことがあります。
それは、「その原資を無くしたら、もう再び手にすることはあり得ないだろう」ということです。
定年退職をした人はもうそれまでのような労働市場には戻れない人です。
戻れても「時給○○円」で働くのが関の山です。
正社員として、それまでと同じように、黙っていても毎月それなりの月給がもらえて、退職金という数千万円クラスの多額なお金を手にすることは、もうあり得ません。
だからこそ、最後の虎の子となるその退職金は相当吟味してリスクの少ないものに投じることが大切です。
サラリーマンとして「雇われの身」で長く生きてきた人が、いきなり「経営者」として自分が事業を起こすことはかなりのリスクがあります。
ヘタすれば老後破産まっしぐらです。
そんなリスクを冒すよりも、安全にタンスに置いておくか、1000万円までなら銀行預金しておくほうがよほど安全です。
手にしたことのないようなお金を手にして、一時的に気持ちが高揚したり舞い上がるのもわかりますが、定年退職時の定職金ほど気をつけて慎重に扱うべきだと思います。