上場会社の多くは「従業員持ち株会制度」を設けていると思います。
そして、多くの人はあまり何も深く考えずにそれに参加していると思います。
「持ち株会」ではたいていの場合、社員が毎月天引きで拠出している金額に応じて会社側からの報奨金がついているもので、その金額は「拠出金の3%~5%」くらいが多いと思います(私は現役時代、当初3%だった金額を5%に引き上げ、やがて10%にまで引き上げました)。
これだけでもメリットと言えるのですが、いかんせん株価というのは変動があるものなので、買付当初の利率で数%あっても肝心の株価自体が下落する恐れを勘案すると必ずしも「絶対的なメリット」とはなりません。
だからこそ、持ち株会では毎月定額を積み立てて(拠出して)決まった日に買付を行なっていくものであり(=ドル・コスト平均法)、それによって長い目で見れば株式の取得価格が抑えられていく・・・というメリットにつながります。
株価が上がっても下がっても関係なく、ある一定の日付で毎月毎月自社株を買い続ける・・・それが従業員持ち株会の大きな仕組みです。
この方法は長期目線でパフォーマンスが高い!というメリットがありますが、それだけではなく、社員の心が安定して幸福感を感じられる・・・というメリットもあるように思えます。
・・・・・・・・・・・
人間が幸福を感じる要因は4つあると言われています。
その4つとは、
1.成長を実感できるとき
2.他者とのつながりを感じられるとき
3.自分の人生をコントロールできていると感じられるとき
4.何か大きな目的に貢献していると感じられるとき
・・・だそうです。
そして、この上記4つをすべて含んだ行動の一つが「従業員持ち株会制度」にもあるような気がします。
まず、「1.成長を実感できるとき」ですが、持ち株会では当然に自分が保有する株数は増えていきます。
連れてその資産価値も増えていきます。
資産価値が増えていくと自分の経済力も上がりますが、自分自身に対する自信も上がります。
自信が高まると、成長したという実感も湧くハズです。
「2.他者とのつながりを感じられるとき」ですが、自社株を買う/手にするという行為は「株主になる」ということであり、他の株主とのつながりを感じられることになります。
「3.自分の人生をコントロールできていると感じられるとき」ですが、自分の意思で自分の給料の一部を毎月積み立てている(拠出している)のですから、自分でコントロールしていることになります。
意図的に資産を増やしている、という事実は後々にとても強力なコントロール感につながると思います。
「4.何か大きな目的に貢献していると感じられる」というのには2つあります。
一つは「自社の成長発展、敵対的株主から自社を守る/自社ビジネスモデルを守る」といったことです。
もう一つは「自分の家計を守る/家計の経済的発展に貢献している」ということです。
多少、こじつけ的な要素もあるかもしれませんが、従業員持ち株会に参加し、毎月自社株を購入して自分の財産形成を行なうということには、外面的メリットの他にこうした内面的メリット(=幸福感を得られる)が隠されていると思います。
財産が増えるだけでなく、ハッピーにもなれるのが「従業員持ち株会の良いところ」だと思います。
従業員持ち株会制度は主に上場企業に限られると思いますが、そうした恵まれた環境下にある人は「参加する/上限枠まで加入する」という選択肢を選ぶのも一つの重要行為だと理解すると良いと思います。