
「そんなことも知らんのか!」というセリフは完全に上から目線の発言です。
相手を威圧し、委縮させます(まるで知らないことが罪であるがごとく)。
「えっ?これ知ってるの私だけ?」というセリフは相手を傷つけることなく自分をそっと押し上げる発言です(暗に相手はみんなと同じと労わっています)。
どちらの言い方も、「自分は知っていて相手は知らない」という点では同じです。
会社内の飲み会などで、部下の立場にある人は後者のフリをして話をしたほうがベターです。
また、上司はついつい自分を大きく見せたくなって前者の物言いをしがちですが、あまりおススメできる言い回しとは思えません。
飲み会の席だからとつい羽目を外して、部下が上司に前者のような言い方をすると、一気に関係が悪化します。
・・・・・・・・・
デイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーによって2012年に行われた「なぜ能力の低い人は自身を素晴らしいと思い込むのか?」という調査によると、能力の低い人間は次のような特徴があることがわかったそうです。
・自身の能力が不足していることを認識できない
・自身の能力の不十分さの程度を認識できない
・他者の能力を正確に推定できない
そのうえで、自分自身が他者よりも優れている/自分はすばらしい存在だ・・・と勝手に思い込んでしまうそうです。
ある分野において能力が低いにも関わらず、自分の能力を過大評価してしまうこの認知バイアスのことをダニング=クルーガー効果と呼ぶそうです。
逆に、能力の高い人については真逆の効果がある=自分の能力が高いにもかかわらず卑下してしまうということもあるそうです。
前者は「傲慢」であり、後者は「謙遜」です。
客観的に常に自分を適切な評価で見る姿勢は「謙虚」です。
会社でうまくやっていくなら「傲慢」より「謙遜」のほうが良いに決まっていますが、謙遜ばかりが過ぎるとイヤミにもとられかねません。
謙虚に、そして不要な争いを避け、不協和音に陥らないように周囲への気配りも忘れず、それでいて自信のあることは堂々と主張する姿勢を持つことは大切だと思います。