電量販店最大手のヤマダHDの創業者・山田昇氏の経営哲学には「スクラップ・アンド・ビルド」があるそうで、仮に10店舗つくって6店舗が黒字・4店舗が赤字なら、赤字の4店舗を閉鎖して黒字の6店舗を残す・・・とか。
多くの経営者は、赤字の4店舗を何とか黒字化しようとします。
なぜなら、人は「損をしたくない」と思うからです。
ところが、山田氏は「それは時間の無駄。1千万円の黒字店を1.5倍にすれば1.5千万円になるが、1千万円の赤字店で1.5倍頑張ってもせいぜい5百万円の赤字に減らせるにすぎない」と考えるそうです。
つまり、赤字店を黒字店にするまでの費用対効果は薄いと考え、黒字化できないのは立地が悪いか、商圏住民にマッチしないといった出店時には見抜けなかった構造的な問題があるからだ・・・と素直に負けを認める発想をしているそうです。
だから黒字店には精力を注ぐけど赤字店は思い切って閉鎖してその分の経営資源を他にまわす・・・というわけです。
言い換えると「ダメなもの(=赤字)はダメ。再建しようと時間と労力をかけることはしない」ということです。
・・・・・・・・・・
不動産投資は「不動産賃貸事業」です。
物件を持っていても、そこに家賃を払ってくれる入居者がいなければ成り立ちません。
当初は入居者がいて順調に家賃収入が入っていたとしても、時代が変われば退去=無収入(各種経費の分だけ赤字)ということになりかねません。
上記のヤマダHDの経営方針になぞらえて言えば、家賃収入を生まない不動産は一定期間を経て手放すべき・・・と言えそうです。
いずれにしても、経営判断/経営手腕の一環ですから良くも悪くも結果責任を受け入れることが大事ですが、一つの考え方として有効だと思います。