人は不思議な生き物で、自分が何かを求めて行動したときは短時間で結果を導いたなら「スゴイ!/高価値」と自己評価するくせに、他人が短時間で結果を出したときには「短時間で結果=たいしたことない/低価値」という評価をしがちです。
たとえば、業者さんに自社ホームページの作成を依頼したとき、30分でそれを作成して料金は10万円ですと言われると「たった30分の仕事で10万円もするの?」と訝(いぶか)しがりますが、まったく同じホームページを1か月かかって作成され10万円を請求されたときは「1か月もかかる作業なら10万円しても仕方ないな」と妙に納得したりします。
何とも面白い傾向です。
まったく同じ成果物であれば、本来は短時間で提供されるほうが良いに決まっています(それだけ早く自分が活用できるから)。
家の鍵を無くして中に入れず、業者さんを呼んで鍵を開けてもらうとします。
わずか1分でロックを開錠してもらえるのと1時間かけてロック開錠してもらうのとでは、前者のほうが助かりますし嬉しいに決まっていますが、料金1万円を請求されたときはなぜか後者のほうがスンナリ支払います。
前者(たった1分でロック開錠)の場合は、「1分なのに1万円もするの!?」とボッタクられた感がしますが、1時間かかった場合は「それだけ大変なことだったんだからまあ仕方ないか」と思ってしまうからです。
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まったく同じ成果を提供しても「時間をかけて提供したほうがありがたがられる/価値を認めてもらえる」という傾向が人にはある・・・というわけです。
人はそういう生き物だと知り、ビジネスでは時と場合によってはあえて時間をかけて提供するように意識することも一つのコツと言えます。
レストランで本当は5分で提供できる料理であってもあえて10分かけて提供したほうがそれだけ手間暇がかかって美味しい料理だと錯覚させてしまう妙理が働くようなものです。
自分がサービスを提供する側なら、「相手(顧客)は提供に要した時間の長さで価値を判断する可能性がある」・・・と考慮してみると良いかもしれません。
逆に自分がサービスを受ける側であれば、時間ではなくサービスの質を中心に見るように意識することが大切だと思います。
こう考えると、時間をかけて働くという単に時給稼ぎを目論んでいるサラリーマンと、時間に関係なく成果物で報酬を得ようとするビジネスマンの違いもわかりやすくなると思います。
自分に置き換えて考えるなら、時間をかけて「ダイエットをする/受験に合格する/年収を増やす」よりも時間をかけないで「ダイエットをする/受験に合格する/年収を増やす」ほうが嬉しいハズです。
時給稼ぎのサラリーマンにならず、本質的にビジネスマンを目指すことが大事だと思います。
サービスの提供が同じとき、かかった時間が長いほどスゴイ!高価値と判断し、逆に時間が短いと価値を低く見積もることがないように、つまり意識して「本質を見る」ようにしたほうがベターだと思います。