中国・『戦国策』に「愚者は成事(せいじ)に闇(くら)く、智者は未萌(みほう)に見る」という言葉があります。
「成事(せいじ)に闇(くら)い」というのは、物事がすでに形になって表れているのにまだそれに気づかない、ということです。
「未萌(みほう)に見る」というのは、まだその芽が出ていないにもかかわらず、何かの事象をもって将来を読み解くことができる技量のことです(未萌とは「いまだ萌(きざ)さず」という意味)。
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ちょうど1か月前の1月17日に、世界No.1の総合モーターメーカー日本電産株式会社が2019年3月期の連結純利益を下方修正する業績予想を発表しました。
実質的な最高益更新予想となる12%増の1470億円という従来予想を、一転して前期比14%減の1120億円に変更しました。
カリスマ経営者の永守氏が経営する日本電産という会社はいつも業績予想を保守的に見ていて、最後は上振れて着地することが当たり前だっただけに、この大幅な業績修正は見る人が見ればけっこう意味深な出来事だったと思います。
あの経営感覚が鋭く、プライドも高い永守氏が「11月、12月にガタンガターンと世界的にすべてのセグメントで大きな変化が起きた・・・リーマン(ショック)の時は全体的に落ちたが、月単位でこんなドンドンと落ちたのはおそらく46年間経営して初めて・・・」と言っていたのが印象的です。
これはもしかすると大きな「未萌」の可能性があります。
永守氏の発言に耳を傾け、ある程度の留意をしておく/警鐘として受け止めるべき・・・だと思います。
→ 原因は「中国経済の減速」です。
米中貿易戦争の影響もありますが、中国経済そのものの停滞・減速が大きな要因と分析されています。
中国の景気は以前から問題視されてきた感がありますが、いつもそれを覆すような政府の発表によってこれまでは「表向きには経済が守られて」きました。
でも、もしかするとここらでその限界が来つつあるのかもしれません。
私のように現役をリアタイアして日々のんびりと暮らしている者には直接の影響はありませんが、現役バリバリで貿易・為替などのビジネスに関係している人にとっては要注意なことだと思います。
「成事(せいじ)に闇(くら)い」ということにならず、「未萌(みほう)に見る」という精神でビジネスを展開する意識は大切だと思います。