今年もっとも活躍して注目を浴びたスポーツ選手と言えば、大坂なおみ選手もその一人だと思います。
昨年の全米オープンに続く、全豪オープンでの優勝という4大大会2連覇の偉業はスゴイことだと思います。
大坂なおみ選手は日清食品に所属していますが、日清食品と言えば、創業者「安藤百福」氏(故人)がNHK朝ドラの『まんぷく』でも描かれました。
安藤氏はかつて2度全財産を失って無一文状態になったという苦い経験があるそうです。
そうした経験などから「銀行には二度と頼らない」と心に誓い、こんな名言を残しています。
「失ったのは財産だけではないか。
その分だけ、経験が血や肉となって身についた」
「経営者は一度、借入の味を覚えると、抜け出せなくなる。
経営に緊張感がなくなり、そのツケは必ず自分に戻ってくる。
企業にとって借金は麻薬のようなものである。」
「高い山の後ろには、必ず深い谷が待ち受けている。
順調な時ほど危機が訪れる。
問題ないと考えること自体、問題である」
・・・などなどです。
安藤氏は日清食品を創業後、無借金経営を貫いたそうです。
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しかしながら、自らが必要な時に、必要な額の資金をいつでも調達できる・・・とは限らないのも現実です。
銀行はそんなに優しい(=いつでもお金を貸してくれる)ところではなく、資金繰りが順調なときほど追加で貸そうとしますが、順調でなくなると途端に手のひらを返したように貸すどころか返せ!と迫ってくるところです。
また、これまで一切取引のなかった金融機関に対し、「トラブルが起こって大変なんです。すぐにお金を貸してください・・・」と申し込んでも、「はい、わかりました」と応じてくれるところなんてありません。
したがって、無借金経営は必ずしも美学とは言えず、社員たちの生活・将来を考えたなら、あえて借金(融資)を行なうというのも、今のご時世では一つの経営哲学だと思います。
さらに、借入によって「企業の成長スピードを加速的に上げる」ということも可能になります。
手元にあるキャッシュ(自己資金)だけで事業展開をすると10年かかるところが、借入金を使う(他人資本)ことで期間を半分に短縮できることもあります。
自己資金が貯まるまでの時間を買う・・・という見方をすれば、自己資金だけでは賄えない規模の事業活動を可能にしてくれるわけです。
そんなさまざまな効果もある「借入(借金)」ですが、その反面、当然リスクもありますから、経営者はそれを行なうにあたって何らかの「基準・規律」を設けておくことが大事です。
たとえば、「年商の3割以下にとどめる」・・・などといった自己基準です。
安藤百福氏が「麻薬のようなもの・・・」と言った銀行借入ですが、リスクを承知のうえで将来の安全担保のために行なっておくことは、一考に値すると思います。