「何はなくてもお金さえあれば安心」・・・と言われますが、昨今のコロナショックでそんなふうに考える企業経営者はますます多くなったかもしれません。
今までの経済環境下であれば、毎月予定どおり業務が遂行され、見込んでいた収益があがり、社員に満額の給料を支払い、後の税金分を留保しながら順調に経営を成り立たせることができました。
でも、急に経済環境が変わりました。
お店を開けたくても開けれない・・・!
開けてもお客さまが急激に減った・・・!
社員の人件費などの固定費はかかるけど肝心の売上がない(減った)・・・!
そうなると、ピンチなのはお金です。
要は「お金がない/お金が無くなる早さが尋常ではない!」・・・ということです。
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たとえば、ある会社の保有する現預金と借入額の比較で、こんな比較例があります(正味の借入金額はすべて2,000万円です)。
A;.現預金額 500万円 借入金額 2,500万円
B;.現預金額 1,500万円 借入金額 3,500万円
C;現預金額 2,500万円 借入金額 4,500万円
どれを選択されますか?
Aは現預金は少ないですが、借入額も少ないので借入利息は少なくて済みます。
逆にCは現預金は多いですが、借入額も多いので負担する借入利息も多くなります。
CからAへの移行は常に可能です。
なぜなら、自らの意思で返済すれば良いだけだからです。
ところが、何か有事の際に現金が必要となって借入額を増やそうとしても(=AからCへの移行)、貸し出す金融機関の同意がなければ不可能です。
ここがちょっと難しいところです。
経営の安定性、資金繰りに苦労しない確率は、AよりCです。
でも、その分普段の金利リスクが高くなります。
これは経営判断のしどころで、経営者の哲学・考え方、業態の内容等による面が大きいと思います。
間をとってBという選択肢もあります。
一方で、問題なのは「まったく借金がない」という経営のやり方です。
無借金経営は一見すると立派で素晴らしいことに見えます。
でも、「借金が0円=融資の道がまったく存在していない(拓かれていない)」という状態だと、イザ!というときに急に道を開拓することはますできません。
つまり、急にお金が必要になってもその段階でお金を借りることは難しい(できない)ということです。
これは昔からよく言われ続けてきていることで、経営者はよくよく頭に入れておかなければいけないことだと思います。
そうしたことを踏まえたうえで、果たして本当に「無借金経営で行くのか?」、それとも今すぐの融資は必要ないことはわかっているけど、あえて、「借金経営を戦略的に行なっておく」のか?・・・を判断することも大切だと思います。