ある会社には、お客様相談センターという部署がありました。
全国のお客さまから「問い合わせ」の電話がかかってくるわけですが、どういうわけか一人の社員はいつも「クレーム・苦情」の電話となり、一人の社員はそうした経験がほとんどないという日々だったようです。
もちろん、2人の社員がかかってくる電話をえり好みをしてとっているわけではないので、単純に「電話を取った後のそれぞれの社員の電話応対」にその差があったと思われます。
では、どんな差があったのか?
クレーム(苦情)の電話ばかりをとってしまう社員は、言うなれば「不安感・虚無感」ばかりをお客さまに与えていて、そうでない社員のほうはお客さまに「安心感・希望感」を与えていたようです。
→ たとえば、何かの手続きに押印と身分証明書の添付が必要だとします。
そのとき、お客さまに「不安感・虚無感」を与えていた社員は「押印と身分証明書がなければこの手続きをすることはできません、再度やり直しをお願いします」と冷たく突き放していました。
お客さまに「安心感・希望感」を与えていた社員のほうは「押印と身分証明書さえあればすぐに手続きができます」・・・といった言葉を伝え、お客と一緒になって不足状態を残念がるような言い方をしていたそうです。
2人が伝えていることは基本的には同じことなのですが、その言い方・表現の仕方によって相手が抱く「感情」に大きな差があったと言えます。
虚無感を覚えるような言い方を伝え続けた社員は、時にはお客さまの逆鱗に触れることもあったようです。
一方、希望の光を与え続けた社員のほうは時には談笑してお客さまと会話を楽しんでいたそうです。
さて、このエピソードから何を学ぶか?
ここでの気づきがビジネス経営者の資質を問うことにつながり、また、自社ビジネスの発展に寄与するヒントにつながると思います。