治にいて乱を忘れず

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加藤清正の代表的な功績として最も知られているのは、熊本城の築城と領地の治政における手腕です。

また、秀吉の朝鮮出兵(文禄の役/1592年~)において、加藤清正は先鋒として朝鮮半島へ渡り、実戦部隊を率いたことでも知られています。

そんな清正が秀吉から召喚の命を受けて朝鮮出兵の前線から引き返す途中、密陽というところで友将の戸田高政の接待を受けることになりました。

近辺は日本側が制圧し、相手方の軍勢も全くなく、治安は安定していたそうです。

そのため、高政や家臣は皆、平生の服装で清正を出迎えました。

しかし清正の軍は全員戦場に出向くようないかめしい姿で到着します。

そうした姿に高政は機嫌を損じ、「この辺りには敵もいないのに、なぜそんなものものしい格好をするのだ?」と尋ねると、清正はこう答えたとか。

「確かにそのとおりだ。でも、とかくものの大事は油断から起こる。敵がいないからと油断し、備えを怠たり、そんな時に万が一にも急変が起こったらこれまでの戦果も水の泡になってしまう。そうでなくても下の者は油断しがちなのだから、まして大将の自分が少しでもくつろげば下の者もこれに倣って大いに油断してしまう。そうならないために、自分は面倒を厭わず、こうしているのだ」・・・と。

高政もこれには大いに感ずるところがあったとか。

・・・・・・・・・・・
下の者は上の者を見て同じように振る舞おうとします。

なぜなら、上の者と同じ振る舞いであれば、罰せられたり叱責を受けたりする恐れが減るからです。

人はとかく易きにつきがちです。

太平無事が続くとついそれに慣れてしまい、何か事が起こって初めて慌てる・・・という姿に陥りがちです。

いついかなる事が起きるかわかりません。

だから、たとえ平和で順調なときであっても常に逆境に思いを致して物心両面の備えを怠ってはいけない・・・という教訓が上記の逸話から読み取れます。

治において乱を忘れず・・・ということです。

たとえ下の者が乱を忘れていても、トップがこの心構えをしっかり持っていれば、万が一に乱が起きても大事に至りにくい・・・と知り、経営トップは意識をしっかりと保ちたいものものですね。

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