なぜ(公的)年金の支給額は上がらないのか?・・・と言うと、原資が足りないからであり、その原因は日本経済が成長しないところに加えて少子化と高齢化が止まらないから・・・・・・だと言えます。
平成に入ってバブルが崩壊してから、日本経済は停滞期に突入し、かれこれ30年弱もの間、GDPは500兆円前後で留まっています。
そうした環境下で高齢化と少子化が進むということは、年金受給者が増えていく(←高齢化)ということに加えて、その年金受給者を支える大事な現役世代が減っていく(←少子化)ということを意味します。
つまり、年金(国の支出)は増えるけど、その給付を支えるための保険料を支払える人が減少する(=保険料収入そのものも減る)ということです。
セオリーでは、単純に減った分だけ保険料を引き上げれば良いのですが、それにも限界があります。
たとえば、サラリーマンであれば給料の金額を超えてまで保険料とするわけにはいきませんし、給料の全額でなくても多額の金額になると(←生活ができない!)サラリーマンなのに生活保護者になってしまいます。
過去のように、経済が成長していた時代であれば年金支給額もどんどん上げることができましたが、今はそういう時代ではない・・・ということです。
年金保険料を多少引き上げても本当に財源が不足するようなら、結局は支給される公的年金の額を下げていくしかなく、したがって年金の支給額を引き上げることなんてありえないわけです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もともと公的年金というのはあらかじめ決まった保険料を積み立てておいて、将来その積み立てたお金(+運用益)を保険料を支払った本人が受け取るという積立方式から始まりました。
ところが、戦後のインフレで積立金の価値が急激に減り、また年金給付が急速に上がっていったために積立方式が機能しなくなり、そのために従来の方式を変えて現役世代の保険料をそのままその時代の年金受給者への財源にするという賦課方式にしたわけです。
積立方式のほうが公平です。
ただし長寿リスクには対応できません。
賦課方式は長寿リスクには対応可能ですが、公平ではありません。
そもそも平均寿命が60歳くらいの時に作られた年金制度を平均寿命が80歳とも100歳とも言われる現在・未来の時代に当てはめようとすることに無理があると思います。
公的年金は誰かが改革しないと軌道に乗せることはできないと思いますが、どんなことでも改革・変更のときには反対勢力/抵抗勢力がつきまといます。
それが世の常・・・です。
それでも、リーダーシップを発揮してより良い未来にするために現状を変えていく姿勢が為政者・官僚(公務員)には求められます。
そうした人物が実際に輩出されてくることを願うばかりですね。