結婚式場選びをしていて、仮に式場代が150万円だったとします。
そのとき、式場代とは別に衣装代として新郎新婦あわせて50万円かかるとします。
さらに、新婦のお色直し代として30万円かかる・・・とすれば、ここまでで費用の合計は230万円です。
価格の単位が「百万円/十万円」レベルになってくると、人はどうしてもその価格帯に意識が引っ張られていくので、「数万円/数千円」の商品・サービス価格を安いと思うようになります。
今の結婚式場の例で言えば、たとえば、「フラワーシャワー代は95,000円です」と言われたとき、「10万円もしないなら、まあ、安いからそれでいいや・・・」となってしまうような感じです。
(フラワーシャワーというのはカゴに盛った花びらをパーッ!と撒くだけですから、冷静に考えれば数万円というのは高く感じられるハズ・・・)
これがまったく別のシチュエーションのときであれば、「フラワーシャワー代が95,000円です」と言われると、驚くハズです。
「そんなにするの(高いの)!?」・・・と。
式場選びで金銭感覚が上がっているときに、「フラワーシャワー代は通常だと95,000円のところ、今なら半額以下の40,000円でお付けできます・・・」と言われると、何となく「安い!」と思ってしまいますが、普段の日常生活の中で「フラワーシャワー代40,000円」と言われるとかなり「高い」と感じると思います。
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人ってそういうものだと思います。
何百万円・何十万円という高額な価格を提示された後に提示される数万円のサービス・商品はとても安くてお得に感じられます。
それは、まるで高速道路を時速100キロで走行していた後に一般道を時速60キロで走るとかなり遅く感じられるのと似ています。
通常であれば一般道路で時速60キロだって相当早いスピードですが、比較対象となる少し前の時間に走行していたのが高速道路だったため、時速60キロが遅く感じられるわけです。
すべてが高額の結婚式関係においては、人のお金に対する感覚が麻痺してしまって数万円規模のサービスがとても安く感じてしまう・・・という現象が起きがちです。
こうした錯覚というかマヒした感情というのは、マーケティングで「コントラストの原理」と呼ばれます。
人は物事の判断をくだすとき、他のものと比較して相対的な判断をしようとします。
普段、身の回りでもいろいろ「コントラストの原理」が用いられている/密かに組み込まれている価格設定があるかもしれません。
「広告の神様」と呼ばれたクロード・ホプキンス氏はこう言っています。
「顧客が求めているのは『お買い得感』であり、決して『安さそのもの』ではない」
コントラストの原理に引っかからないように自分を律する姿勢も大事ですし、一方で販売者側の立場で言えば「お買い得感」を顧客に与える姿勢も大切だと思います。