
中国には「肥えた豚は年の瀬に殺されやすい」という格言があるそうです。
お金儲けをし過ぎたり、財産を貯めこんだりしてまるでブクブク肥えていくようなとき、そうなるまで何もされず放っておかれたのに年の瀬(=いつかいきなり)にはそれらを没収されたり、重い税をかけられるといったことが起きないとも限りません。
冒頭の言葉は、お金持ち・資産家・事業家に限らず誰でもそうしたリスクが常につきまとっていることを忘れてはいけない・・・という戒めの言葉だと理解しています。
・・・・・・・・・・・・・
かつて軍人だった任正非(レン・ツェンフェイ)氏は、1987年に商人としての第一歩を踏み出し会社を興しました。
興した会社は「ファーウェイ(華為技術)」という名前の小さな会社でした。
任はファーウェイの幹部に「富可敵國」の言葉をしばしば語り、次のように忠告したと言われています(富可敵國とは、国家に匹敵するほどの財を成すことを意味します)。
「中国では国から目の敵にされるほど富を築いてはならない。ビジネスの夢を叶えたいなら、社会との関わりを自制し目立たないようにすることが大切だ」
・・・と。
ブクブクと肥えていくまでは規制も少なく、国や行政からも放置されているかもしれませんが、あまりに強大な富を築き上げるとそれを快く思わない輩が必ず現れてきて、「権力をもってそれを没収する」という暴挙に出てきます。
昨日までは何ともなかったことが、今日からはいきなり課税されたり禁止されたりするわけです。
それが正義かどうかを問うても巨大な国家権力の前では仕方のないことです。
それよりも、そうしたリスクが潜在していることを知ることが大事です。
すなわち「富可敵國」の精神を忘れないことです。
任氏はこうも語っています。
「純粋な黒や白は哲学的仮説に過ぎず、グレーこそが常態なのだ。我々は決して極端に走ってはならず、系統的な思考を持たなければならない」
・・・と。
実際、いろんな物事は極端に走るとロクなことがありません。
物事は中庸が良い・・・とは昔からよく言われることですが、確かに一理あると思います。
自分の成した財や富を合理的な根拠、理由もなく手放さなければならなくなるのは寂しいことです。
そうならないように、ほどほどの財ができたならそれ以上の多くは望まずに、明るく楽しい毎日を送るように意識を向けるほうが得策かもしれないですね。