1.Aさんが持っているお金1000万円を銀行に預けるとします
2.銀行は、準備預金制度というルールに則って、Aさんの預金のうち1%の10万円を日本銀行に預け、残りの990万円を別の人に貸し出しすることができます(仮に預金準備率を1%としたとき)
3.その銀行へBさんがやってきて、土地を買いたいので990万円を貸してほしいと言うとします
4.銀行はBさんに990万円を貸し出して、Bさんの預金通帳に残高990万円と記帳します
5.すると、この段階ではこうなります
Aさんの預金残高 = 1000万円
Bさんの預金段高 0 → 990万円
6.もともと1000万円のお金しかなかったはずなのに、Bさんが借入をした段階で総額1990万円のお金をこの銀行は預かっていることになります
お金の「現物」は当初1000万円だったはずですが、いつの間にか記帳上はAさんの預金残高1000万円、Bさんの預金残高990万円となり、銀行に預けられているお金の合計金額が1990万円になる・・・という面白いことが起きているわけです。
つまり、誰かが銀行からお金の借入をすると、銀行に預けられている預金残高は増えていく・・・と言えます。
→ 「誰かが銀行からお金を借りると、通帳上のお金は増える」・・・ということです。
さらに、Bさんが土地購入で990万円を引き出し、Bさんに土地を売った人がその代金の990万円をこの銀行に預け入れれば、そこで990万円の新たな預金が生じますし、銀行はその1%を日銀に預けたうえで残りの99%(≒980万円)を別の人に貸し出しすることもできます。
そうやって、預金と貸出を交互に繰り返すこと銀行の預け入れ残高はどんどん増えていくことになります。
つまりは、世の中に出回るお金が増えることになります。
銀行側が「貸出したお金を全額回収する/貸出残高を0円にする」という暴挙に出ない限り、この連鎖は途絶えることなく続いていきます。
しかも、銀行は一つ限りではありませんから、銀行の数が増えれば増えるほど、こうした「記帳上のお金の残高」は天文学的に増えていくことになります。
逆に考えると、銀行がお金を回収する(一括返済を求める)と、お金は減っていくことになります。
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このように考えると、現在市場に出回っているお金のうち、その何分の1ないし半分くらいは、もしかすると「実体なきお金」で「誰かの借金によって生み出されたお金」なのかもしれません。
もともと「実体があったお金」ではなく、誰かが要望して「借金を申し込んだことによって生み出されたお金」・・・と考えると、とても不思議な感じがします。
まあ、今の世の中は「銀行数が減る/合併で淘汰される」時代ですから、以前のように青天井に「実体のないお金が増え続ける」ということには一定の制限がかかっている、と言えるかもしれません。
でも、巷間よく言われているように「日本の預貯金残高は○○円もある!だから日本経済は破綻しない!」・・・という言葉にはある程度のフィルターをかけて見ることが必要かもしれない・・・と言えそうです。
なぜなら、そこで言われている数字(残高)の半分位くらいはもともと実体のなかった金額かもしれないからです。
いずれにしても、「お金は人の要望・望み・借金によって信用創造されるものである・・・」という経済の仕組みを知っておくことは大切です。
それを自分の家計・ビジネスに活かすも良し、無視して放っておくも良し・・・ですが、できることなら「活かす」ほうに頭を使いたいものですね。