8月に国税庁が副業に関して足を引っ張る改正案を提出しました。
現行制度ではサラリーマンが副業を開始して仮に損失が発生したとしても、その副業に伴う経費を計上することで本業の給与と合算してトータルの課税所得を少なくすることができます。
そうすることで「実際に納める所得税が少なくなる」というメリットをサラリーマンは享受できるわけです。
現実的には、会社で源泉徴収された所得税の一部を翌年自分が確定申告をすることで還付してもらえる流れです。
ところが国税庁の改正案は「副業と認定する収入規模を大きくする(具体的には300万円)」こととし、せっかくのこの合算技を妨害しようとするものでした。
300万円以下の場合は雑所得とする案でした。
雑所得となればサラリーマンが本業の給料と合算することはできなくなります。
そうなると、ほとんどのサラリーマンは副業をしたところで自分の所得税を減らすことは難しくなります。
まあ、その後いろいろクレームがついて多少は直しが入ったようですが、こうしたところに国の施策を100%信じてはいけない/常にチェックしておかなければいけない、ということが感じ取れます。
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こうした副業だけでなく、不動産投資でも「節税」をキーワードにした投資紹介は後を絶ちません。
不動産投資で税金を減らせる/サラリーマンに合法的に可能な所得税対策などとよく謳われますが、そうした言葉はたしかに聞こえはいいのですが、裏に潜む根本的な問題点を知らずにいるとどこかでしっぺ返しにあう恐れもあります。
副業が脚光を浴びるようになるにつれ、収入を追加で上げることを目的にせず、いかに経費を計上して赤字を出して税金を取り戻すか・・・ということを目的に副業をはじめる人が散見されるようになってきました。
でも、よくよく考えればわかるようにそれはちょっと違うでしょ、と言いたくもなります。
副業をする目的は「節税」などではなく、単純に「収入アップ」のほうにあるハズです。
この点は不動産投資でも同じことが言えます。
不動産投資における家賃収入は「不動産所得」に該当し、事業所得と同じように収入から経費を差し引いて赤字になればその分を給与所得から差し引くことが可能です。
それを謳い文句にサラリーマンに不動産投資を強く推奨する業者もいるようですが、こうした所得税の節税を目的にする不動産投資は誤りだと思います。
不動産投資を行なう目的はあくまでも長期的/安定的に家賃収入を得ること=自分の収入アップにあるハズです。
短期的な節税効果だけを目的にして不動産投資を始めると、本来長期で所有していれば得られるはずの大きな収益を取り逃すことにもなりかねません。
節税を目的にしてしまうと、安定的に収益を得られることよりいかに経費を計上するか(つまり損を出す)・・・といったことばかりに意識が向かい、その結果、赤字続きで一向に儲からない・・・ということにもなりかねません。
節税の視点で不動産物件を選ぶことはむやみな高額商品の購入につながり、将来的な投資の失敗につながります。
所得税の節税効果が持続したとしても、それは赤字状態の継続で賃貸事業が成立していない状態を意味しますから、言ってみれば「なんのこっちゃ状態」です。
節税ではなく将来のための収入源を作ることを目的にして、堅実に資産形成を行なうことを意識するほうがベターです。
副業は節税目的ではなく、もともと自分の収入アップを目指して始めたことを忘れてはいけないですね。