松下幸之助は「人格は後ろ姿に表れる」と看破しました。
そのため、たとえば面接試験では受験生が部屋に入ってくる姿ではなく、部屋から出ていく後ろ姿をじっと見ていたそうです。
あるとき誰かが「どうしてそんなに出ていく後ろ姿をご覧になるのですか?」尋ねたところ、幸之助氏はこう言ったとか。
→ 人間はな、こんな狭い部屋でも入ってくる時はみんな余所(よそ)行きや。でも、出ていく後ろ姿に普段の様子が表れるのや」・・・と。
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人は自分の前姿を見ることはできても後姿を見ることはできません。
できないからこそ、自分の後姿に手を加えて着飾ったり力量以上の姿に変えることもできません。
つまりは「後姿にこそ、その人本来のモノ(人格)が表れる」ということです。
人は、入る時はよそ行きの姿であっても、出ていくときにはその後ろ姿に人格が表れるものです。
ホテルでも、チェックインする時はみんな紳士と淑女ですが、翌朝チェックアウトした後の部屋を見たらその客の人間性が分かります。
備品は使いたい放題(もっと言うと盗み放題)、照明やエアコンはつけっぱなし、浴衣は脱ぎっぱなし、テレビもつけっぱなし、空気清浄器もつけっぱなし・・・では、最初の紳士淑女の面影はどこへ行ったやら・・・です。
会社に就職した際には「これからしっかり頑張ります」と装ってよそ行きの姿を示します。
徐々に本性が現れ、たとえば仕事で後始末をせずに放ったらかしの人がいたり、すぐに愚痴や言い訳をしてみたり、途中退職するときにはついホンネがポロリと出て捨てセリフを吐いて去っていく人もいます。
出ていく後ろ姿にその人の本当の人格が表れていると思えば、いろんなことに納得できます。
法律上は問題ない・・・と屁理屈を言う姿勢を正し、高い倫理観と道徳観を持って「立つ鳥跡を濁さず」の精神で行動することは大切なことだと思います。