聞いた話ですが、中国のお店で商品を買うときに値切って安く買おうとすると、店員が怒ったような顔つきでレジで会計をするそうです。
日本人の客だと、そこでかなりイヤな感じを受けてしまいそうです。
ところが、中国ではこれはイヤな気持ちになるべきことではなく、むしろ「誇らしい気持ち」になるべきことだ・・・とか。
どういうことか?
日本人の感覚では「お客様は神様です」という概念があって、店員はたとえどんなときでも怒ったような顔をしてお客さまに不快感を与えてはいけないとされてきました。
ところが中国では、「店員がつい怒ってしまうほど安く値切られてしまった」ことを意味し、それは裏返していえば「それほどお客の交渉が上手だった」ことを意味し、さらに言うと「それだけそのお客さまが優秀だということの表れ」になるそうです。
だから、店員が怒ったような顔をするのはもう細かい感情を通り過ぎて一種の礼儀として、「あなた(←お客さま)は交渉上手な優秀な人ですね!」というお褒めの態度になる・・・のだとか。
まさに「出来事は一つ、とらえ方はさまざま」で、「ところ変われば品変わる」です。
日本だとお客が不愉快になる店員の態度も、ところ変われば受け取り方が「気持ちが愉快になる」というわけですから、なんとも驚きです。
異国間のやり取りでは、こうした文化の違いがあることを知っておくことは大切です。
同じ出来事でも、こちらはこう思ったことがあちらは別の受け取り方をして別の感情を持つ・・・ということが往々にしてあるので、よくよく留意しておくことが大事です。
似たようなことは日本国内においても、また会社の内部においても頻繁に起きます。
地域の風習の違いや、老若男女の世代間の違いや、業界内のルールの違いなど、ビジネスにおいてもよく起きます。
社会人になればそうしたことがあり得ることに理解を示し、自分の考え方・とらえ方だけがすべてで常識だ、といった偏った考え方を持たないようにすることが大切だと思います。