ビジネスでは「交渉」がつきものです。
交渉のないビジネス社会は残念ながら存在しません(一時的にはあっても)。
日本人は昔から交渉が苦手・・・といわれていますが、多分に当たっていると思います。
人によっては、交渉≒ケンカ・・・とカン違いしている人もいるかもしれません。
でも、交渉というのはそうではありません。
交渉しないでも(もっと言うと何も言わなくても)、こちらの気持ちを汲んでこちらにとって有利になるように物事をとり計ってもらいたい・・・という何とも調子のいいことを期待する人もいますが、そんなことはまず起こり得ません。
日本人は自己主張をするのはみっともない/恥だ・・・という価値観を持っていて、代わりに周りの人を見て、それと同調する方向で波風立てずになるべく突出することがないように振る舞うことが正しいことだ・・・と刷り込まれて育ってきています。
ところが、これだけ世の中がグローバルになり、さまざまなところで「世界の中の日本」になってきた以上、利害がバッティングするときには正々堂々と議論をして自らの手で自らに有利な約束を取り付ける・・・という姿勢が大事になってきたと思います。
そうしないとドンドン不利になっていきます。
交渉で大事なのは、自分の主張をいたずらに繰り返すことではなく、相手がなぜそんな主張をするのだろうか?と相手の立場になって考えることです。
昨今、10代・20代の若者が薬を過剰摂取してしまう事象が大きな問題になっていますが、それを見つけたときに単に𠮟りつけたり薬を取り上げたりするのではなく、なぜそんなことをしてしまうのか?そうすることでどんな効果を期待し、実際、体験しているのか?を詳らかにすることが大事だと言われます。
交渉はこれと少し似ているような気がします。
つまり、相手の本当の目的・狙いをしっかり探り、代替手段等によってそれを叶えてあげることができないか?・・・と発想する姿勢です。
それは、相手が「何を」、「どこまで」欲しがっているのか、そしてその「理由・目的は何か」を考えることで見えてきます。
こちらが譲るにしろ突っぱねるにしろ、相手の事情が飲み込めないと落としどころを探ることもできません。
そして、ここが重要な点ですが、そのために必要な戦術は「相手にジャンジャン話をさせて、こちらは聞き手にまわる」という単純な姿勢です。
単純な姿勢ですが、これをできる人はなかなかそう多くはいません。
なぜなら、人は「聞くより話したがる生き物」だからです。
でも、逆に言うと、だからこそこれをうまくできる人は交渉上手な人(問題解決が得意な人)になれると思います。