
仕事で上司から何かを言われたときに「自分はもう知っていますよ」といった類の発言をする部下がたまにいますが、これは愚者の発言です。
自分が過去の経験でそれを見聞きしたことがある・・・ということを言いたいのでしょうが、上司から見て「そっかー、こいつはスゴイな」とは決してなりません。
上司の心の中では「なんだこいつ!生意気な奴だな」という負の感情のほうが強く芽生えます。
「もう知っています/それは知っています」といった発言はよくよく注意して発する姿勢が重要です(特に仕事上では)。
そうした発言をどのような時に出すべきか、またどのような時には出すべきでないか、その見極めがコミュニケーションのセンスにつながります。
本人は「もう知ってますよ」という自慢をすることで気分が晴れるかもしれませんが、それを伝えられる側には何のプラスにもなりません。
自分は「知ってます」「分かっています」ということをひけらかしたいだけで、その効果はむしろ逆効果と言えます。
ただし、この「知っている自慢」は決して悪いわけではなく、要は発する(知らせる)タイミングがある・・・ということです。
上司が「こういうこと知っている人がいないかなあ」と求めているときなら、「ああ、私は知っていますよ」と言って構いません。
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手品を見ていて、「あれは○○が▼▼になっているんだよね」などと他の観客に平気でタネをバラすことはたいへん迷惑な行為です。
みんなは何らかのタネがあることは承知のうえで手品の不思議を楽しんでいるのに、ヨコから求めてもいないのに勝手にそのタネをバラすことなんて誰も求めていません。
ショーが終わって、場所と席を変え、何気ない会話の中で「そう言えばさっきの手品だけど、どうやっていたかわかる?」と相手のほうから尋ねてきたときに初めて「うん、あれは多分ね、〇〇を・・・」と話すのなら問題ありません。
「ああ、それは知っていますよ」ということを伝えるのはタイミングがすごく重要です。
子ども/精神年齢が低い人はとにかく自分がマウントを取りたくてすぐに「それ知ってる!知ってる!・・・」と言いがちです。
でも、大人にもなれば、社会人としてそれがベターかどうかの区別はできないといけないと思います。
かく言う私も20代代の頃はそうした悪いクセがあったように思いますが、「そうした発言をしないようにしよう」と自分に禁制をかけました。
「私それ知っていますよ」という返しの発言を意識して止めるように努める姿勢を持つことは、仕事上において有効だと思います。